免疫とアレルギー- 9
これまで、免疫に関係する細胞について、いろいろと書いてきました。人が生きていくための免疫にはたくさんの細胞が関与していることが分かるかと思います。
さて、免疫はこれらの細胞だけで完結しているのでしょうか?当然、そんなわけはありません。多くの人が聞いたことがあると思いますが、「抗体」が出てきていません。最近は新型コロナワクチンを打った後、何か月間、「抗体」が維持できるか??なんて、良くテレビでも言っていますので、詳しくは分からなくても、免疫に深く関わっていることは想像できるかと思います。今回は「抗体」について説明します。
まずは、「抗体」って何でしょう?まず、「抗体」の機能を見つけたのは、北里柴三郎とエミール・アドルフ・フォン・ベーリングが血清中に破傷風菌に対する不活化する作用のあることを発見しましたことから始まるとされています。しかし、この時点ではまだ「抗体」という言葉はありません。ただ、血液中に毒素に対して無毒化する物質が含まれている程度でした。1891年に初めて日本語で「抗体」を意味する「Antikörper =Antibody(英語)」という言葉が出てきます。しかし、まだこれが白血球(リンパ球)が作るたんぱく質であることまでは分かっていませんでした。
「抗体」は、リンパ球のB細胞が分化したプラズマ細胞と言われる白血球が産生します。しかし、プラズマ細胞だけでは「抗体」はできません。これまでにいろいろと説明してきた様々な免疫細胞、白血球が深く関係してきます。その流れについては、次回に説明しますが、「抗体」は免疫にかかわる「Y」の形をしたたんぱく質で、人の場合、大きく分けて5種類があります。この分類や働きについてもいつか説明できればと思います。